ちいさなことばをひろいあつめて【短編集】
 「…申し訳御座いません」

 「分かっているなら言うな。私は…私だ」



 首筋に薄く触れる刀身に少女の本気を感じる。

 少女の言葉に青年は「かしこまりました」と答えると彼女の後ろに下がった。



 燃えるような赤色が滲んでいた東の空を見ればいつの間にかその光源は地平線から完全に切り離され赤い球体となり空を昇っている。


 朝、だ。


 もうこの少女と青年の居るべき世界ではない。

 勿論その事は当人達が一番知り得ることで。
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