白豚王子育成計画〜もしかして私、チョロインですか?〜




 ――と終わってくれればいいんだけど、彼は私の婚約者。王子との婚約が「あんなブサイクなんて嫌っ!」なんて口にするのも許されないことは、周りの雰囲気から容易に察せられて。 

 それから一週間。現実逃避に、窓辺に遊びに来る綺麗な小鳥と「うふふ」とそれっぽく戯れながら、小康状態を演じていた私に、転機はあっさりと訪れた。

 薬でも使われたのか、気が付けばスイートルームのような部屋から岩壁の洞穴に様変わり。嫌でも色々と察するものである。

『リイナ=キャンベル』はいわゆる深窓の令嬢。病弱で、私の記憶が蘇る前数ヶ月間なんて、ずっと高熱にうなされていたらしい。

 そんな王子の婚約者が、気が付けば見知らぬ場所にいたのだ。間違いない、これは誘拐っていうやつだろう。前世で散々読んだファンタジー恋愛漫画では、よくある展開だ。

 どうしよう――という不安よりも前に、私の脳裏に過ぎったのは古い漫画だった。

 それは、お姫様を誘拐したイケメン盗賊。彼らはお互い一目惚れし、世間の荒波に揉まれながら、その愛を深めていくというストーリー。

 そうだ! あの白豚婚約者はその布石だったんだ!

 結婚したくない令嬢が、ワイルドなイケメン盗賊に恋をするなんて、それもまた王道の一つだよね!

 そんな私の耳に聞こえてくるのは、

「おかしら、上手くいきましたな」

「身代金で稼ぐもよし、手篭めにするもよし……クックックッ、酒がウメェなぁ」

 なんていう、祝賀のどんちゃん騒ぎの中、足音が近づいてくる。

 さぁ! 早く私に会いに来なさい、おかしらとやら。

 どんなイケメンかしら? 野性味溢れるのは、やっぱり黒の長髪? でも切れ長の瞳は金色だったり?
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