シュガー ガール
「私、ここから家が近いから、お祭りの様子を見に来たんだけど、1人なんだあ……」



何処か寂しそうな顔で、そう言う夢が教室でいつも1人の自分と重なってしまう。



「もし、良ければ私達と一緒に花火を見ないかな?」
「でも……」
「ん?」
「明日菜ちゃんが良くても、周りがどう思うか……」



あ。陸斗と大地さんの事を気にしているのだろう。



「あ!俺らならOK!な!陸斗!!」
「うん!明日菜の友達なら大歓迎だよ!!」
「ありがとう!!」


とっても嬉しそうな夢を、幸せな気分で眺めた。


「明日菜ちゃん!」
「んっ?」
「あのね……」



そう言うと、耳元に唇を近付けてくる夢。



「明日菜ちゃんと陸斗さんは、付き合っているの?」



思いもよらぬ質問をされ、身体がビクリと反応してしまう。



私と陸斗が__

そんな風に見えたら嬉しいななんて、思ってしまう。

私は陸斗が好きだけど、付き合うなんて有り得ないはなしだから首を横に振る。



「違う。違う。幼なじみ!!」
「そうなんだぁ!!あんな素敵な幼なじみが居るなんて羨ましいなぁ……」



素敵な幼なじみ__



ふと、陸斗の横顔をチラ見する。筋の通った鼻筋に切れ長の目が切なくなる程美しい。



ふと、火薬の匂いが鼻膣を刺激した数秒後に大きな向日葵のような光が空に打ち上がった。

空の光で陸斗の横顔が更に美しく、映る。



「花火大会始まったな!」
「わぁー!すっごい綺麗!!」
「もっと、綺麗に見える場所に移動しようか!?」
「そうだね!」
< 21 / 191 >

この作品をシェア

pagetop