エセ・ストラテジストは、奔走する

______________


____



“まじで?“

“まじ。だってさあ、ほぼ半同棲状態で4年くらい付き合っといて「結婚する気は無い」とか言い出すんだよ?ふざけんなだし、見切りつけて良かったわ。“


女子同士の会話って、たまにあけすけに語られ過ぎて、ただ偶然耳に入っただけなのに、その攻撃力を前に打ちのめされる時がある。 

今の私が、まさに、それだ。


「ねえ、千歳(ちとせ)ちゃん。溢れてる。」

「え?……は!!」

ラウンド型のあまり大きくはないウッドテーブルには、可愛らしいスコーンが2つと、セットで注文したアールグレイ。

ポットで運ばれてきたそれをカップに嬉々として注ごうとしたタイミングで、すぐ隣のテーブルから聞こえてきた会話にこれでもかというくらい動揺した結果、若干溢してしまった。

「動揺しすぎだよ。」

「…ご、ごめん。」

向かいに座る、高校時代からの友人である美都(みと)がそう言いながら、笑って一緒に拭き取ってくれる。



< 2 / 119 >

この作品をシェア

pagetop