イノセント ~意地悪御曹司と意固地な彼女の恋の行方~

対決の時

翌日の夕方。
晶からの連絡は意外に早くやってきた。

『南の連絡先が分かったから送るわね』

入手方法も知らせることなく送ってきたアドレス。
萌夏はすぐに連絡を入れ、直接会う約束をした。
もちろん、何か罠を仕掛けられる可能性だってある。
それでも、今の萌夏には連絡を取ることしか現状を打破する手段がなかった。


「・・・夏、萌夏」
「え?」

「どうしたんだ、ボーッとして」
「ごめん、ちょっと考え事」
まさかこの後犯人に会うつもりだと遥本人に言うわけにもいかず、テへへと笑った。

騒動から3日たって社長の仮眠室にいた遥もホテルに移った。
それでも、終息に大きな進展はない。
雪丸さんも社長も、きっと高野さんも必死になって犯人を追っていると思う。
遥は朝から警察の聴取があったそうで、少し疲れているように見える。

「せっかく来たんだから、一緒に食べないのか?」
持ってきたお弁当を冷蔵庫にしまうのを見て、遥がさみしそうな顔をした。

「ごめん、この後約束があって」
「はあ?誰と」
「えっと・・・晶と」

「それって、地元の友達の?」
「そう。今こっちに来ているの」

少し前に晶のことを男の子だと誤解した遥とけんかをしてしまったが、その後女友達だと説明して誤解は解けた。
今度一緒にご飯でも食べましょうねって笑って話したばかりだから、文句を言われることはないと思う。

「ふーん」
なんだか遥は納得いかない表情。
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