冬に花弁。彷徨う杜で君を見つけたら。

火葬の光

「お、着いたぞ。灯台。けっこう
最近展望が出来て、こっから
入江も湾もよく見えるだよ。」

6人を、のせた
軽トラックはすぐに、
高台の灯台に着いた。

「灯台の上からだけじゃなく、
展望広場からもいいね~。」

見れば、まだ藁舟は入江を出た
所を浮かんでいる。

軽トラックから、
少しクマをマシにさせたリンネを
気遣って
クラシタが
ドアを開けて手伝った。

そんな様子もチョウコとキコは
ニマニマとしながら
みている。

展望広場には人影はない。
港が一望できるこの場所から
見下ろすと、
そのまま下に吸い込まれそうな
気分になる。

全員が外に出て、
展望広場に なぜか一列に並ぶと、

「じゃあ~、合図するねん。」

ハジメが
海に向かって、電話を鳴らした。

程なく、
入江のあたり
海に浮いていた藁舟から炎が
徐々に上がり始めた。

釣り人は
何だろうと思っているだろう。

漁火にしては
朝明けすぎて、近く見える
1つの光に。

冬の乾いた空気に晒されて
藁舟は少しずつ
そして、綺麗なオレンジ色に
色を、変えながら
サヤサヤと 燃えていく。

その様子を、
全員が 只、
灯台のたもとから
静かに見ていた。


「ハジメさん、ありがとうござい
ます。ようやく、きちんと、
父を送り出せた気がします。」

リンネが、その瞳に
オレンジの光を映しながら
ハジメに、礼する。

ハジメも、海の炎を見たまま、

「本当は良かったのかなぁ、舟
じゃない方が良かったかなぁっ
てさぁ。でもねぇ、レディドー
ル、お父上の事~、足といっし
ょに流してあげたらってさぁ」

少し、寂しく微笑みながら
答える。

藁舟と一緒に、3つの人形も
やんわりと炎に包まれて
いるだろう。

そんな風に 思う中で、
チョウコが嗚咽を洩らしはじめた

「うう、あたしー、
船で良かった。リュウちゃん、
ちゃんと、送り出せたやもん」

えぐえぐと泣き始めたチョウコに
キコも貰い泣きする。

「チョウコさん!爆泣きやない!
やめてぇや。うちも、涙でる。
そやなぁ、そやもんなぁ。
うちも、ようやく自分で送れた
気ぃするもん。ほら拭いてぇ」

キコが渡したら手拭いで
拭きながら俄に
泣き始めた3人に、ルイが突然

「そうや、泣き!思いっきり
泣いて、食おう!精進落としの
モーニングってことでな!
ほら、何でもちゃんと自分で
腑に落とせれば進めんだろ?
腹もすくって。カメラん人も
そっち、持って!てか何積んで
んのこのトラック?屋台か?」

声を掛けて、
トラックの荷台を見回す。

「あぁ、普段は野菜直売する
トラックをかりたからねぇ。
ガーデンセット乗せたまんま
なんだよねん。ほらストーブ」

気を取り直したハジメもルイに
同調してトラックの中を
説明した。

「へぇ、あ、この港。直売で
午後とか夜に漁師が魚売るんだ
よ。見てくといいぞ。新鮮だぜ」

クラシタが、ハジメと一緒に
椅子やテーブルを広場に出して、
簡易ストーブをセットする。

ルイも、カフェから詰めてきた
朝食を準備し出した。


「、、ハジメさん?、リンネさん
達は、どこですか?、」

ふと、クラシタが
周りを見回す。

男性陣が用意をしているうちに
女性陣の姿がなくなっている。

「トイレじゃないか。あ、
ちゃんと、宿から漁師朝めし
弁当もらってんだ。これも、
出してもらっていっか?」

ルイが手早く、盛り付けたり、
オープンサンドを作る。
それを、ハジメは
ニコニコしながら見て、

クラシタは、自分の荷物から
ソロキャンプ用のコートセットを
用意してはいるが、
周りをキョロキョロと
探している。

ハジメの愉しそうな独り言も
広場の準備で

ルイにもクラシタにも
聞こえていなかった。


「さぁ~、トイレなのかなぁ。
ほんとはぁ、下にいっちゃ
ったんだけどねぇ~。彼女達」
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