その男『D』につき~初恋は独占欲を拗らせる~

こんな男に靡く女性の気が知れないと思うのに、今まで彼に靡いた女性の数を考えれば、私の方が少数派なのかとげんなりしてしまう。

「なかなか攻略出来そうにないなぁ。エベレストもびっくりだよ」
「そう思うなら早く下山してその辺の丘でピクニックでもしたらいいじゃないですか」

なぜわざわざ登る気がない山に挑む振りをしているのか。

ここ最近、やたらと構われているのが鬱陶しくてしょうがない。
どれだけ邪険に扱ってもへこたれずに話しかけてくるのだから、営業職というのはメンタルが相当鍛えられるらしい。

私なんかに構ってないで、さっさと『友藤さんになら遊ばれてもいい』と声高に宣言している子達の方へ行けばいいのに。

…いや、そんな子達を食べつつ私にも声を掛けているんだろう。迷惑甚だしい。

へらへらと笑っている友藤さんの真意はわからないが、こっちは攻略される気なんてさらさらない。


私、中原朱音(なかはら あかね)がもう3ヶ月以上も探し求めているもの。
それは友藤さんと真逆の男性。

そう。私は童貞、DTの男を探すのだ。




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