2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「専務とは何も無かったですし。私は、もう少しで会社から離れますから。だから、いろいろあったこと、全部忘れますね」


樹さんも、私が会社を辞めることは知っているみたいだ。
それについて何も聞いてはこないけど……


『柚葉、我慢してるだろ? つらいことがあればいつでも俺に言えばいい』


心を見透かされたみたいでドキッとした。
そんなこと言われたら……
私、電話の向こうの樹さんについ甘えたくなってしまう。


「あ、ありがとうございます。樹さんにはとても感謝してます。だけど……樹さんには樹さんの大切な時間があると思いますから、だから、私のこと、そんなに心配しなくて大丈夫ですよ」


『大切な時間……?』


「はい。樹さんは、私が柊君にフラれたことに同情してくれてますよね?」


『……』


「自分の兄弟がしたことを、まるで自分の罪のように思って……」
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