2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
『まあ、いい。今、何を言ってもムダだろうから。柚葉、24日、空いてるか? 仕事が終わってから』


え……24日って……
クリスマス・イブだよ。


「私には予定なんてありません。1人ぼっちですから……」


『なら、付き合え。その日は絶対に予定を入れるな』


樹さんのその強引さ……
かなり無理やりだけど、何だか少し嬉しかった。
寂しい心に、ポッと明かりが灯ったみたいだった。


『車出すけど、外に出るから温かくしてきて』


「あ……。は、はい」


『それまででも、もし何かあったらすぐに連絡してこい。夜中でもいいから。俺に気は遣うな。じゃあ、おやすみ』


樹さんは、そう言って電話を切った。


その日はクリスマス・イブだよ?
2人きりの場合、普通は付き合ってる人と一緒に過ごす日だよ。樹さん、ちゃんとわかってるの?


彼氏と彼女、大切な人と一緒にいる日。
去年は、もちろん柊君と過ごした。
今年は、弟の樹さんと一緒にイブを過ごすの?
温かくしてこいって、いったいどこに連れていってくれるつもり?


あまりに突然で、思考能力が低下してる。
私には樹さんの本心が全く理解できなかった。
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