2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
夕方5時の終業時間。
「クリスマス・イブだから今日は残業なし。早く大切な人に会いに行って」と、柊君がみんなに言った。


「社長、今日は予定ありますか?」


柊君は、数人の女子社員に声をかけられてる。


「予定は特にないよ。今夜は1人で寂しいクリスマス・イブを過ごすよ」


「だったら、一緒に飲みましょうよ。1人なんて寂し過ぎますよ~」


「飲みましょ、飲みましょ。他の女と飲むなって、怒る人もいないですよね?」


チラッとこっちを見る派手目の女子社員。
私を哀れんでる、意地悪そうな目付きだ。


きっと、みんなは私がフラれたって思ってるだろう。噂は歪んで広がるものだから。
結婚式を取りやめるくらいズタズタにフラれた……って、言われてるのかも。
だからといって、もちろん、本当のことを言うつもりはないけど……


言えないよ、柊君のことは誰にも。


女子社員達は、今がチャンスとばかりに自分を猛アピールしてる。
みんな、自分に自信があるんだ。
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