2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
樹……
私、樹が好き。
この感情、間違ってなんかないよね。


唇が離れても、お互い磁石のように何度も引き付け合った。


そして……
私達は、ゆっくりと離れた。


「ごめん、いっぱい泣いて」


「泣かせて悪かったな……」


さっきまで激しく唇を重ねたくせに、まともに顔が見れない。


しばらくの沈黙が続く……


「わ、私、お風呂入るね」


「あ、ああ」


ぎこちない会話。
本当はまだ2人でいたいのに……
上手く本音を言えないまま、私は、いたたまれなくなって浴室に向かった。


ぐちゃぐちゃの顔も、早く洗ってしまいたい。
こんな腫れた顔、これ以上樹に見られたくない。


「私……これからどうすればいいの?」


お風呂に入っても、ベッドに入っても、さっきのことが頭から離れない。
明日は、バイトで早いのに、全然眠れそうになかった。


もし、明日になって、樹とキスしたことが夢だったら……


ううん、夢なんかじゃない。
だって、ここにはまだ、樹としたキスの感触が残ってるんだから――
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