2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
死んだみたいな俺からしたら、この子の顔、めちゃくちゃカッコよく見える。


『ゆみちゃんに…告白して、両思いになれたらいいな。頑張れ』


『ありがとう!お兄ちゃんも頑張ってね!約束だよ』


『あ、ああ。また、必ず会おうな。俺、頑張るから…』


嘘だろ?


頑張るとか言ってる…


それに、これ、涙…かよ。


俺、泣いてるのか?


何年ぶりだよ…


スキップで行ってしまった男の子の言葉で、俺は…


自分の人生を一瞬にして変えられたのか?


まだ、よくはわからないけど…


でも、ほんの少しだけ、何かに頑張ってみようかなと…


そんな小さな炎が、心に現れた気がした。


誰かからの着信。


『はい…』


昔の先輩からの仕事の誘いだった。


一緒にやらないかって…


こんなタイミング…


ありか…よ…


また、何とも言えない思いが溢れた。


『あのガキ…俺、負けないぞ…あいつに会った時、胸を張ってられるような人生…送らなきゃな…』


自然に湧いてくるこの熱い気持ち。


これが、感謝の気持ち…なのか?


そんなもの、遠い昔に置き忘れていた気がする。


『もう一度だけ…頑張ってみるか。柚葉…ごめんな』


見上げたグレーの空は、いつの間にか…


澄んだ青い色に変わっていた。
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