2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
とにかく、我慢我慢。
私みたいに思ってる女子社員が他にいないことを願う。


「失礼します」


私は、席に戻って仕事の続きをした。


あまり深く考えないようにしよう。専務に本気で誘われたわけじゃないんだから。でも、もし次に何か言われたら……さすがに柊君に話そう。


私は、チラッと社長室を見た。
ガラス張りの部屋の中で、兄弟2人が何か話してる。その光景は、ドキッとするくらい絵になっていて、私の心を鷲掴みにした。
嘘みたいに眩し過ぎる2人を数秒間見つめ、誰にもわからないよう呼吸を整えてから、私はデスクの上の資料整理を始めた。


これが済んだら会議に出る。プロジェクトの成功のため、できる限り尽力したいと思ってる。
確かに、柊君の仕事ぶりに比べたら、私なんて会社への貢献度は微々たるものだけど…
でも、採用面接の時に言った言葉に責任を持たないと……って、ずっとそう自分に言い聞かせて頑張ってる。


やりがいのある仕事に携わって、たくさんの人の役に立てるよう成長したいって、偉そうに言ってしまったから――
< 63 / 264 >

この作品をシェア

pagetop