先生がいてくれるなら③【完】

広夢さんがフッと私の方に顔を向ける。


「明莉さん、行こうか」

「はい。すみません細川先生、失礼します」


私が細川先生にペコリと頭を下げると「あ、うん、また学校で」と私に向かってまたニッコリ……。



広夢さんは助手席のドアを開けてくれて、私が助手席に座るのを確認し、ドアを閉めてくれた。


藤野兄弟の次男と三男は、こう言う所ほんとよく似てる。


ひとつひとつの何気ない仕草が、光貴先生と広夢さんは驚くほどよく似ていて……。


孝哉先生とは半分しか血が繋がってなくて、光貴先生と広夢さんは兄弟だから性格がそっくりなのは当たり前とも言えるけど。



広夢さんが車に乗り込み、「じゃ、行こっか」と言う声と共に車がゆっくりと滑るように走り出す。


まだ私たちを見つめたままの細川先生に小さく会釈をすると、細川先生はヒラヒラと手を振った。


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