君に伝えたかったこと

待っています

さおりが泊まった夜、美貴恵はベッドに入ってもまったく寝付けなかった。

旦那が急遽出張になったことや、さおりは明日の出発が早いと早々に布団にもぐりこんでしまったこともあったが、なによりも芳樹からのメールが来る瞬間のことを考えると、寝られるわけがなかった。

あの時、芳樹のことをラインから削除してしまった。
繋がっていると、つい連絡をとってしまいそうだったから。

メールがいつ来るかなんてわからない。
今日じゃないかもしれない、3日後かも知れない。
1週間後、いやメールなんて来ない。
一瞬、そんなことが頭をよぎる。

しかし、美貴恵には自信があった。

(メールはすぐに来る。芳樹はそういうヒトだから・・・)

いつもは夜間だけマナーモードにしている携帯も今日は着信音が鳴るようにセットした。

この1時間の間にあった出来事をあれこれ考えた。

また話すことができた。

連絡を待つことも
言葉を伝えることも

もう一度

ずっとずっと心の片隅にあった、小さな願い・・・


美貴恵はいつの間にかウトウトと寝てしまった。

すると手の中で突然携帯が鳴り出す。
あわてて飛び起きた美貴恵は見覚えのあるアドレスに心の底から嬉しさを感じた。

芳樹からだ!!
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