君に伝えたかったこと
「お疲れ様っす!」

「あー大志君! こっちこっち。ここに座って」

隣に座るように促された大志は、座りながら店員に声を掛ける。

「すみません、ここ生ひとつ・・・いや3つください」

紗江と芳樹のジョッキが空なのを見て、二人の分までオーダーする大志。
笑みを浮かべ大志の顔を見る芳樹。

「お前、ほんとに成長したよな。この半年で」

「え? なんすか?」

芳樹の声は喧騒にかき消され、大志の耳には届かなかったようだ。

「何でもない。それより今日の撮影はどうだった?」

「女の子の緊張がなかなか解けなくて苦労しましたよ」

紗江が赤ら顔で、大志に問いかける

「あれ?いつものモデルじゃなかったんだ?」

「予定してた子が体調崩しちゃって。急遽、初の撮影って子が来たんですけど、いろいろとバタバタでした」

「初めてのスチール撮影じゃ、緊張するなって方が無理よねー」

「ですよねぇ」

芳樹はその会話を、懐かしく思いながら芳聞き流していた。
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