君に伝えたかったこと
第六章

いつものように

芳樹はとある出版社の会議に出席するため、都内へ向かっていた。
地下鉄の階段を上り切ると、地上から降り注ぐ光と青い空が視界に飛び込んでくる。
東京ドームの純白の屋根が太陽を浴びてギラリと光る。

夏の空

「ハラ減ったな・・・」

会議開始の時間よりも1時間ほど早く到着したのは、出版社のある駅よりもひと駅手前。
ここからブラブラと歩きながら、適当な店で食事をしていこうと思ったからだ。

まだ昼休みには少しだけ早いオフィス街。
笑いながら友人と歩いている学生、時計を気にしながら早足に通り過ぎるスーツ姿のサラリーマン。
芳樹はデイバッグを背負ったままゆっくりと歩いていく。

(何食べようかなぁ・・・。昨日はラーメンでその前はコンビニ弁当・・・うーん野菜が足りない・・か?)

頭の中で今日のランチのメニューを思い浮かべながら、街の看板を見渡してみる。
するとポケットに突っ込んでいた携帯が鳴りはじめた。
着信は良樹の後輩でもある河本(かわもと たいし)からだった。
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