君に伝えたかったこと
第七章

おかえりなさい

そして、半年後・・・


海外出張から帰ってきたとさおりから連絡が来る。

「もしもし美貴恵。アタシ ただいま」

「あーさおり、久しぶりー 帰ってきたんだね。おかえりなさい。アメリカはどうだった?」

「すっごい楽しかったよ。それでね、明日の夜、そっち行ってもいい?」

久しぶりに聞くさおりの声は、いつものように明るかった。

「何時頃に来るの?」

「うーんと9時くらい? ついでに泊まらせて欲しいんだけど。」

「帰国早々? まぁいいけどね。話したいこともあるし」

「旦那さんは?」

「明日は帰ってくるの深夜だと思うよ」

「あら、じゃあ早めにお伺いしなくちゃ」

「どうしてよ?」

「だって先に寝ていたほうが気楽だし」

「まったくアンタって人は半年たっても海外行っても変わらないんだから・・・」

「じゃあ、明日お願いしまーす。そっちに着く30分前くらいには電話するから。じゃーね」

あきれる美貴恵をよそに、さおりはいつものように機嫌よく電話を切った。



あの日から、季節はひと回りし、また春が訪れようとしていた

自分の想いを確かめるために、わずかな可能性を信じて行動したあの日

何かの答えが欲しくて、迷っていた日々


忘れることなどできなかった

すべてが優しすぎたから



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