君に伝えたかったこと
そのタイミングを待っていたかのように、ドアのノックとともに入ってくる3人の社員。
大志はあわてて立ち上がり挨拶をする。

「お世話になっております。」

「こちらこそ、わざわざお越しいただきまして」

そう笑顔で話しながら部屋に入ってきたのは大志に話を持ちかけたのはデザイン課の部長、佐々木だった。

軽い挨拶と自己紹介を終えた面々は、滞りなく仕事の話へと進んでいった。

-して2時間後-

デザイン事務所とのミーティングはこれ以上ないほどのスムーズさで進んで行った。

なによりも部長が芳樹の実績を高く評価してくれたことが大きかった。

「では今回の件はぜひお願いできればと思っております」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

芳樹と大志は机の上に広げられた書類や資料をまとめながら挨拶をする。

あとは軽い世間話でもしながら、次回の打ち合わせの段取りをするだけという段階になって、ミーティングルームに置かれた電話が鳴る。

受話器を手に取ったのは佐々木だった。

「ああ、そうか。うん、じゃあミーティングルームへ来てくれないか。そろそろ河本さんも澤田さんもお帰りになるところだ。まずはご挨拶だけでも」

受話器を社員に返した佐々木が大志に向き直る。

「すみません、実は今回の案件に関して弊社からもう一人スタッフを紹介させてください。先ほどまで外出しておりまして、今日は間に合わないと思っていたのですが、ギリギリで帰ってきたようです。いまこちらに向かわせておりますので」
< 99 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop