涙、滴り落ちるまで

転生した先で




あの日から、数か月。僕が天国に来て、今日で3年が経つ。今日、僕と紫乃は転生することになったんだ。

僕と紫乃は朝からライラ様に呼び出されてて、指定された天国に入ってすぐにある広場に来ていた。その広場の隅にはライラ様がいて、僕はライラ様に声をかける。

「瑠依、紫乃……来ましたね……今まで、お疲れ様でした」

笑顔を崩すことなく、ライラ様は僕と紫乃を見つめた。

「……たくさん話したいことはありますが、早速始めますね……」

そう言ったライラ様は、何かを呟き始める。次の瞬間僕の視界は光に包まれて、僕は思わず目を閉じた。

「……瑠依、紫乃……あなた方には、前世の記憶を持ちながら人間と死神のハーフとして生まれ変わってもらいます。どうか、お元気で」

そんなライラ様の声を聞きながら、僕は眠りに落ちた。



「母さん、行ってきます!」

「行ってらっしゃい」

通学用のカバンを手に取って、僕は急いで玄関へと移動した。

僕と紫乃が転生して、数年。気が付けば、僕らは高校1年生になっていた。

……それにしても、ライラ様はどうして前世の記憶を残したんだ?

そんなことを考えながら靴を履いていると、「瑠依、忘れ物」と母さんの声が聞こえてきて母さんの方を見る。
< 133 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop