涙、滴り落ちるまで
僕がそう言うと、綾は「そうだね」と頷く。綾は、外に出ると「少し散歩しない?」と僕を見た。

僕が「良いよ」と頷くと、綾は「やった!」と笑う。そして、僕は綾の隣を歩いた。

少し歩いてると、どこからか悪霊の気配を感じて僕は立ち止まる。綾は「どうしたの?」と僕を見つめた。

「……綾。悪霊の気配がする……こっちに近づいて……?」

大分、悪霊のいる方向が分かるようになってきたな。

「……っ!」

僕と綾の目の前に、悪霊が着地する。悪霊は僕と綾に目もくれず、一点を見つめていた。

「……ん?誰かいる……」

綾は、空を見上げるとそう呟く。僕が綾の視線を辿って空を見上げると、屋根の上には半透明の男の子が立っていた。

悪霊は、その男の子を見据えると動き出す。僕は、地面を強く蹴って空高く飛び上がると悪霊を蹴り飛ばした。

そのまま男の子がいる屋根に着地すると、男の子を抱き上げて地面に飛び降りる。

「瑠依……」

僕の名前を呼びながら、綾は僕に近づいた。男の子を地面に下ろすと、綾の方を向いて「その子を頼んだよ」と言う。

綾は「分かった……」と頷いた。

「……」

悪霊は、体勢を整えると僕を見据える。だから、僕も悪霊を見据えた。
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