君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
「あのさ、中学生の時のこと。……栞ちゃんが俺に書いてくれた手紙が張り出されて、俺がひどいことを言っちゃったときのこと……。ずっと謝りたかったんだ」

「え……?」


 信じられなかった。

 なんで、今さら?

 それにあなたは、私のことを気持ち悪いって思ってたんじゃ?

 そんな相手に、なんで謝るの?


「俺、友達に冷やかされて恥ずかしくなっちゃって……。だからつい、あんなこと言っちゃって。本当は気持ち悪いだなんて、全然思ってなかった。栞ちゃんと話す時間、楽しくて好きだった」

「え……。そう、なの?」


 すぐには信じられなくって、悟くんの顔を見ながら私はそう言った。

 悟くんは眉尻を下げて、本当に申し訳なさそうな顔をしていた。

 私に対する、心からの謝罪の気持ちが伝わってきた。

 ――嘘をついているようには、見えない。

 だけど悟くんは、仲良しだと信じていた私に「気持ち悪い」と昔言ったんだ。

 ねえ、そんな人の言うこと信じられる……?

 そんな暗い気持ちが一瞬浮かぶ。

 ――だけど。


『俺が栞を守るから』


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