悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。






私は彼と過ごす、この楽しい時間がとても好き。
彼がたまに見せるこのどこか嬉しそうな顔も。


「エマ、愛しているよ」

「私もよ」


リアムが私の耳元で甘く囁く。私はそれを受け止めて微笑んだ。


「今晩の相手は絶対僕を選んで、エマ」


焦がれるような声が私に届く。そしてリアムは私の耳を優しく舐めて甘噛みをした。


「ん、こら、リアム」


いきなりのことで私から甘い声が漏れる。


「可愛い。可愛いよ、僕のエマ」


そんな私を見てリアムは満足げに笑った。
そして私をとても愛おしそうに見つめた。


甘い。まるで毒の様に私を麻痺させるリアムの言葉と行動。
欲しいものを欲しい時に全てくれるリアムが私は大好きだ。
それが例え全て私が縛り付け、強要させた偽りのものだったとしても。







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