悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。





まだ私にはやれることがある。
例え夢だったとしてももう己の欲望には従わない。
彼らに謝罪し、彼らを解放しなければ。


「ありがとうございます、カオリさん。私、ちゃんと誠意を見せます。彼らを解放します」

「いいのよ。エマちゃん。さ、美味しいものでも食べて元気出して午後からも頑張るわよ!」

「はい!」


スッキリして顔をあげればカオリさんが優しげな瞳で私を見つめていた。
本当に素敵な先輩だ。一生ついて行きます。




*****



それから私はカオリさんとの会話を楽しみながら午前中は喫茶店で過ごし、午後からは気持ちを切り替えて仕事をした。
そして何事もなく、1日を終えた私はさっさと家に帰宅し、食事、お風呂を済ませると、急いで布団へと入った。

今日、彼らを解放する。

いつもなら楽しみな気持ちや幸せな気持ちで布団に入る私だったが今日の私は違う。
彼らに会うことに緊張していた。

そして私はいつもとは違う気持ちの中いつものように意識を手放した。







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