蜜甘同居こじらせ中 その後 短編集


「綺月君と同じテンションで生きてたら、
 僕の寿命が縮まるから」


「でもさ、まさか天音が。
 自己紹介中に、
 自分の過去を全部バラスとはな」



 ビビらせんな!と笑いながら
 天音の肩に乗せた綺月。

 その手を、天音が勢いよく振り払った。




「隠してても『男の子に告白した』とか、
 中学までいじめられてて、
 学校では前髪で目を隠してる地縛霊とか。
 どうせ誰かが、ネットに書くでしょ?」


「そういう商売だからな」


「他人に好き放題言われるくらいなら、
 自分の言葉で
 本当のこと言いたかったし」


 
 ため息と一緒に床に落ちる、天音の声。



 二人の会話に
 口を挟まないつもりだったけれど。

 天音を慰めたくて、
 俺は畳に寝そべりながら口を開いた。




「ライブの時の天音、カッコよかったよ」


「握手会の後のファンへのあいさつで。
 蜜甘王子の仮面が剥がれかけていた
 ダサアイドルに褒められても、
 僕は嬉しくないし」



 天音君って……鬼?


 今の俺を一目見れば、
 弱り切ってることくらいわかるよね?


 それなのに……

 悪魔攻撃が、容赦なさ過ぎ!


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