天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 しかも帰ってきたあと母から聞いたのだが、双方の両親の旅費も宿泊費もすべて陽貴さん持ちだったとか。


「なんだぁ。ご両親とですか」
「あれっ、なに期待してたの?」
「電撃結婚するんじゃないかって噂になってますよ」


 それを聞き、眉がピクッと上がった。
 もう既婚者だと知られたら大騒動になりそうだ。


「するかもね」


 陽貴さんが煽るので目が点になる。
 この話、終わらせてほしい。


「えっ、そういう人がいるんですか?」
「ご想像にお任せします」


 途端にざわついたナースステーションだったが、ナースコールが鳴り響きピリッと空気が引き締まった。


『国枝です。804の足立(あだち)さん、けいれんです』


 ナースの国枝さんからの連絡に、陽貴さんが即座に飛び出していく。
 それから一気に病棟があわただしくなった。



< 107 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop