天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい

「コーヒーと紅茶とどちらがよろしいですか？」
「それではコーヒーで。ブラックで結構です」
「承知しました」


　私はリビングに案内したあとキッチンに向かう。


「いやー、想像以上だった。幼なじみって話してたから勝手に幼い感じの奥さんかと思ってたけど、色気ばっちりだ」

「その発言、オヤジっぽいぞ。季帆の色気は俺のおかげだ」


　ふたりの会話を恥ずかしくて聞いていられない。
　私は背を向けたまま黙々とコーヒーを淹れていた。


「お前の発言も十分オヤジだ。ま、幸せそうでよかった」

「サンキュ。息子、何歳になった？」

「もうすぐ五歳。幼稚園でガキ大将やってるよ」


　木藤先生は豪快に笑っている。


「へぇ。ガキ大将ね。お前もそうだっただろ」
「お待たせしました」


　私はふたりのところにコーヒーとケーキを運んだ。


「奥さんもよかったら一緒に」