【完】セカンドマリッジライフ
目には見えない火花が散っているような気がして、気が気ではなかった。 琥太郎の会社と連携するというニューヨークのジュエリー会社の社員は 沢口さんという人だった。
よくいる大手のエリートサラリーマンといった感じの、清潔感のある都会的な男性。
東京によくいるタイプの人だ。 まあ、彼はニューヨーク勤務らしいが。 「雪乃さん、沢口です。 ずっと会ってみたかったんです。資料では沢山拝見させて頂いてましたが実物は更に美しい」 そう言った。 口が巧くて少しだけ胡散臭い所も都会人らしい。
沢口さんに対しては困った様に愛想笑いをする。
利久さんと琥太郎は互いに目を逸らさず見つめ合い、探り探りの他愛のない話をしている。
そして沢口さんは今回のプロジェクトの件について話し始めた。
琥太郎の会社スタープラチナとニューヨークの有名ジュエリーブランドの日本でのコラボレーション。
希少価値の宝石からは指輪やネックレスのレディースラインを発売するという。
そのアンバサダー。つまりは広告塔として私にモデルを努めて欲しいとの事。 それは琥太郎からも電話で聞いていた。
今回発売されるというジュエリーの試作品まで沢口さんは持ってきていて、私に見せてくれた。 小さなダイヤモンドが散りばめられたジュエリーはとっても綺麗。光に照らされてキラキラと輝いた。