【完】セカンドマリッジライフ

はらり、はらりとゆっくりと空から舞い落ちる雪。 遠くの空が紫色に白んでいく。
鼻の奥をツンと突き抜けて行く冬の匂い。
手のひらに落ちた粉雪は体温に溶け合って消えていく。



君は北海道を美しいと言う。 一年の半分は雪で埋もれるこの街が好きだと笑う。

その姿を見て、君を綺麗だって思ったんだ。 美しいものを素直に美しいと言える、心の美しさを綺麗だと思った。

俺達はきっと知っている。厳しい冬を乗り越えて芽吹く緑の美しさも、短い夏の儚さも、秋の短さも
そしてどんな季節でも、俺は君の隣に居る事を相応しい男でありたいと願う――。

雪乃を抱き寄せて、ゆっくりと唇にキスを落とすと

「愛しているよ。 ずっと一緒にいよう」

雪が彼女の後ろをハラハラと舞っていく。 鼻を真っ赤にさせた君は「うん!」と言って またその白い雪のように澱みのない笑顔を俺へと向けるんだ――



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