俺様幼馴染は素直になれない!
*
結愛も瑠翔と同様、落ち込んでいた。
「うわっ。初めてだ。瑠翔とけんかしてしまった…」
私は自分の部屋で一人呟いた。
どうしよう、瑠翔が悪いわけじゃなし。
瑠翔は言おうとしてくれたって言ってたじゃん。
なんで素直に受け取らなかったの。
前までは瑠翔の言うことは少しは聞いてたのに、なんで反論したの。
反論する理由なんて…ないじゃん。
私は一人で呟いて、頭の中で瑠翔の話を繰り返し考えていた。
考えたって何も出来ない。
うーんとうなされていると、ブゥブゥブゥと携帯のバイブ音がした。
自分の机に置いてあった携帯を取り、携帯の画面を見ると、智子から電話がきていた。
「もしもし、どうしたの?」
「一樹先輩から聞いたんだけど…喧嘩?したんだって…」
智子はうん?と優しい声で聞いてきた。
一樹先輩、私と瑠翔のことでなんかあるとすぐに智子に教えるんだな。
でも、感謝しかない。有難い。
私が悩んでるのを知って…
ありがとう、一樹先輩。
私は心の中で感謝を込めた。
「うん、瑠翔の進路聞いて。なんで言わなかったのかって…。最初に聞きたかったのにって」
私は右耳に携帯をあてて、俯いたまま答えた。
「……言ってることは分かるけど…瑠翔先輩だって色々考えて言おうとしたんじゃないの」
「…そうなんだよね、分かってる。私がその時納得すればいい話だっていうのは分かってる。でも、なんだかモヤモヤが止まらなくて…」
私は自分の手で頭をくしゃくしゃにして、智子に声を発した。
「…それは、結愛が最初に聞きたかったけど…聞けなくてモヤモヤしてんじゃない」
智子は私が伝えたいことを言語化してくれた。
「うん」
私は返事をした。
「ならそう伝えればわかるんじゃないの?」
智子はクスッと笑ってから、電話越しでも智子の表情が伝わってきた。
「いや、伝えたよ。でも、瑠翔は伝えようとしたって言うだけで」
私はそう言うと、智子ははいはいと返事をしただけ。
「だったら、自分の感情を具体的に言えばいいと思うよ。モヤモヤとか」
智子は私が言わなくちゃいけないことを教えてくれた。
「……そうだね」
私は素直に返事をした。
ほんとにその通りだ。
私は言葉だけではなく、私の感情を言わないと…伝わらない。
智子に連絡してみるねと言って、電話を切った。