俺様幼馴染は素直になれない!





結愛が職員室に行った後、私は弁当を食べてから、机の中に入っていた教科書類を整理していた。

その時、上杉くんが声をかけてきた。

「智子ちゃん」

「上杉くん」

私は教科書類を整理していて下を向いていたので、上を見上げると、上杉くんがいた。

「さっきまで。上杉くんの話してたんだよ。あのクマ好きなんだって」

私は頬杖をついて、上杉くんに突っかかるように言う。

「相波さん。話したんだ」

上杉くんは驚くことなく、ポツリと呟いた。

上杉くんがいるオタクグループの男子2人がこちらを見ていたが、私は気にせずに上杉くんを見た。

「……あ、あんまり言われたくなかった感じ?」

私はチラッとオタクグループを見てから彼を察して、上杉くんに聞く。

「そんなことない。相波さん達は信頼できるから言ったんだ」

うんうんと首で頷いて、まん丸の黒目を見開いて上杉くんは私に言っていた。

「…そう。じゃあなんで今頃になって結愛に話しかけたの?同じクラスだから話しかけられたでしょ」

私は一番気掛かりなことを聞いた。
だって、今は6月で同じクラスになって、3ヶ月ほどだ。

上杉くんなら、人気者からオタクグループまで人当たりがよく話しかけている。

だけど、オタクなグループにいて、クラスの立場的に中間くらいなのだ。

そんな人が今まで、話さなかったのか。

話すタイミングがなかったのかもしれないが
何かがあるのではないかと思った。

勘違いかもしれないが、なにかの違和感を感じていたのだ。

「…今だからだよ。僕は僕でタイミングを見計っていたからね。あ、智子ちゃん。数学の提出物出してよね。早めにね」

上杉くんはニッと口角を上げて、私に言い去っていた。

< 28 / 118 >

この作品をシェア

pagetop