双生モラトリアム
青くなった私の様子がおかしいと、颯はすぐに気付いた。
「病院……行こうか。僕が診るから」
「……!」
颯に肩を触られた瞬間、ビクッと体が強張る。
「い……嫌だ……」
「唯……」
「き、きっと風邪かなにか……の体調不良だよ……す、ストレスとか……ほら、環境が変わると狂うって言うじゃない……」
可能性すら認めたくなくて、震える声で一生懸命に否定した。気のせいだ、絶対気のせいだ……って。
だって、私は1ヶ月毎日毎日ずっと樹に抱かれて続けたしかも、1日何度も何度も。もしもその結果が……望まないものならば。
私は、舞への一番の裏切りをしたことになる。
「唯……逃げたいのはわかるよ。だけと、もしそうでなかったとしても、不安でいるよりハッキリとさせた方が安心できる。僕がすべての検査をするから……ね?」
安心させるためか颯がそう言ってくれたけど。精神的なストレスからか、治まってた吐き気がぶり返した。 吐いて横になった時には颯がしっかり手を握り、ゆっくり頭を撫でてくれた。
「大丈夫、何があっても僕がいる……唯、僕は何からも君を守るよ。体を差し出してもいいくらいだ」
「颯……こわいよ……私……私」
「うん、そうだね……自分の体がわからない状態だから怖くて当たり前だよ。だけど、君はひとりじゃない……ぼくが一生そばにいるから」
怖がる私を宥めた颯の力強さと優しさ、そして心地よい言葉にくるまれて……やがて私は眠気に襲われ、そのまま意識を手放した。