御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない


「ひなたに対してもそれに近い」
「え……私、ですか?」
「初日の会話や顔つきに気持ち八割持って行かれて、残り二割も早々におとされた」

なんでもないことのように告げられた言葉に驚いていると、こちらに視線だけを向けた東堂さんが目を細める。


窓の外に広がる藍色に染まった空。暗い車道。道に散らばる、信号や路面店の明かり。

夜の雰囲気が漂う中、東堂さんの眼差しに乗る色気にあてられ息を呑む。
静かな車内で、私の心臓だけが騒がしく鳴っていた。


これは、スタンプを押してもいい案件だろうか。



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