御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない

Step.2



その週の金曜日、新入社員との顔合わせを目的とした飲み会が催された。
毎年四月の頭にあるこの飲み会と、夏の決起集会、忘年会は基本的には一次会のお金は会社が持ってくれるので、出席率が高い。

飲み放題コースに含まれる料理やドリンクメニューからはみ出た部分は自己負担となる決まりだ。
人数が多いため、部署によって日がわかれるのだけれど、今年は営業部と、受付の入っている総務部が同じ日だったので、君島先輩と渡さんと一緒にお店まで向かうことにする。

ちなみに、月曜日、なんだか様子がおかしく感じた渡さんは、翌日にはケロッとしていていつも通りだった。
後から考えると、あの時、私の発言をきっかけに落ち込んだような気がしていたので、普通に接してきてくれてホッとした。

社員用出入り口前にあるフリースペースで待ち合わせて、三人そろったところで外に出る。
十八時半。四月になったとは言え、夜は冷える。

「一昨日、営業部で夜お花見に行ったんだけどさ、寒くて桜楽しむどころじゃなかった。俺、毎年思うんだけど、花見って桜以外じゃダメなの? 六月の梅雨入り前くらいが気温的にもちょうどいいし、その頃咲く花でお花見すればいいのにっていうのは、情緒がないとか言われちゃうのかな」

歩きながら言う渡さんに、思わず笑みをこぼす。

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