能力を失った聖女は用済みですか?
しかし、変化は聖女生活5年目で突然訪れた。
ある日、精霊の声が全く聞こえなくなってしまったのである。
奇しくも、国王陛下が新しい妃を娶った祝いの年、国中がお祭り騒ぎをする中でのことだ。
「ルナ……もう、これ以上は無理だろう」
王子のラシッドが私に声をかけた。
ロラン王は、今日神殿で雨を降らすことが出来なければ、新しい聖女を召喚すると宣言している。
5年前から、ずっと私にすり寄ってきたラシッドでさえ、力がないとわかると、新しい聖女の召喚に賛成したようだ。
「……で、でも……」
もう少しだけ挑戦させて欲しい。
と、続く言葉は、王に却下された。
「もう良い。アイーシャを娶っためでたい年に聖女の力が失われたと民に知られれば、あらぬ噂が立つ!それは、避けねばならん」
「父上……ルナは年のせいで力を使い果たしたのでしょう。やはり、聖女は若く才気に満ちた者の方が良いですね」
ラシッドが言った言葉に、私は唖然とした。
年のせいで……ってどういうこと!?
私は今年27歳……確かにこの世界では、独身の27歳なんて化石もいいところだ。
でも、そんな憶測でしかないことを、さも当たり前のように言うなんてどうかしてる。
昔のラシッドは可愛くて「ルナ!大好き!」なんて、抱きついて来たのに。
「ラシッド。すぐに魔鉱石を集め召喚の準備をしろ」
「はい、父上!」
ラシッド王子は王の命令を遂行するために、直ちに準備に取りかかる。
「神官達はそこの役立たずな女を早く祭壇から下ろせ」
「御意、陛下!」
神官達は申し訳なさそうに私に駆け寄った。
5年の間、共に暮らした神官達も王の命令には逆らえない。
力のない聖女を庇う余裕は誰にもないのだ。
ある日、精霊の声が全く聞こえなくなってしまったのである。
奇しくも、国王陛下が新しい妃を娶った祝いの年、国中がお祭り騒ぎをする中でのことだ。
「ルナ……もう、これ以上は無理だろう」
王子のラシッドが私に声をかけた。
ロラン王は、今日神殿で雨を降らすことが出来なければ、新しい聖女を召喚すると宣言している。
5年前から、ずっと私にすり寄ってきたラシッドでさえ、力がないとわかると、新しい聖女の召喚に賛成したようだ。
「……で、でも……」
もう少しだけ挑戦させて欲しい。
と、続く言葉は、王に却下された。
「もう良い。アイーシャを娶っためでたい年に聖女の力が失われたと民に知られれば、あらぬ噂が立つ!それは、避けねばならん」
「父上……ルナは年のせいで力を使い果たしたのでしょう。やはり、聖女は若く才気に満ちた者の方が良いですね」
ラシッドが言った言葉に、私は唖然とした。
年のせいで……ってどういうこと!?
私は今年27歳……確かにこの世界では、独身の27歳なんて化石もいいところだ。
でも、そんな憶測でしかないことを、さも当たり前のように言うなんてどうかしてる。
昔のラシッドは可愛くて「ルナ!大好き!」なんて、抱きついて来たのに。
「ラシッド。すぐに魔鉱石を集め召喚の準備をしろ」
「はい、父上!」
ラシッド王子は王の命令を遂行するために、直ちに準備に取りかかる。
「神官達はそこの役立たずな女を早く祭壇から下ろせ」
「御意、陛下!」
神官達は申し訳なさそうに私に駆け寄った。
5年の間、共に暮らした神官達も王の命令には逆らえない。
力のない聖女を庇う余裕は誰にもないのだ。