チョコなんてあげないっ!


あたしが、しばらくその場から動けないでいると。


「あっ、いたいた!ヒロくーん!」


この前、広斗と一緒にショッピングモールで歩いていた女の子が、屋上へとやってきた。


……あの子、同じ学校だったんだ。


「もう!どこ行ってたの?さっきからずっと、ヒロくんのこと探してたんだからね。

……はい、これ。
ヒロくんに、バレンタインチョコだよ」


そう言って女の子が広斗に渡したのは、淡いピンク色の包み。


「おー。これ、七海(ななみ)の手作り?」


「うん!七海、ヒロくんのために一生懸命作ったんだから」


「マジか。サンキュー」

嬉しそうに笑って、七海という子からのチョコを受け取る広斗。



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