チョコなんてあげないっ!


「はぁ……」


あたしってば、どうしようもなく腹が立っちゃって。

歯止めがきかずに、つい思ってもいないことを言ってしまった。


あたしの好きな人は、昔からずっと広斗だけなのに……。



「ねぇサヤ、どうしよう……広斗、怒ったかな?」


あたしは、席に座ったまま黙ってあたしたちのやり取りを見ていたサヤに尋ねた。


「うーん。はたから見たら、2人が言い合ってるのって、いつものことだけどね。またか、って感じ」


サヤが少し呆れたように言う。


「あたしったら広斗につい、チョコなんてあげないっ! って言っちゃった」


「水谷くんも水谷くんだけど、琳も琳だよ。ほんと素直じゃないんだから」


「うっ……」


サヤの言葉が、ストレートにあたしの胸に刺さる。



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