未来の種
……私じゃダメだ。私にはできないかもしれないのだ。だったら今、ここで別れた方がいい。今しかチャンスはない。このままずっと一緒にいれば、ますます離れ難くなる。でも、物理的に離れてしまう今なら、きっとお互い冷静になれるだろう。
もしかしたら優にはNYで出会いがあるかもしれない。そんな時に、役立たずの私の存在は邪魔だ。

そうしてやっと決心した。
優から離れようと…。


「私…今、気になっている人がいるの。
その人はずっと側にいてくれる人。
私、その人との未来を考えてみようと思ってる。」

「嘘だ! そんな話、信じないよ。
じゃあなんで今抱かれたんだ? 美衣子はそんな奴がいながら俺に抱かれたのか? 
そんなのおかしいだろう?」

たしかにおかしい…。
このホテルに入った途端、優にキスをされた。ベッドまで待てないと、ドアに縫い留められ、性急に身体を繋げた。優も明日から離れることに不安だったのだろう。そして私もそれに応えた。
その後、ベッドで何度も高みに押し上げられ、何度果てたかわからない。私の身体を知り尽くした優に、私はなすがままだ。最後だと思うと、私も歯止めが効かなかった。

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