色のない世界に恋のうたを
ありあけのつきを まちいでつるかな

pink story


午前5時。
あたりは薄暗く、まだ少し肌寒い。
このご時世、不要不急の外出は控えろとばかり言われる毎日。
大学生活で1番暇な春休みを過ごしている。
私は実家から離れて一人暮らしをしているが、緊急事態宣言なるものを受け、 地元に帰ろうにも帰れなかった。

____今なにしてんの?

そんなメッセージが暗い画面を明るくさせた。
彼氏の大地にも、久しくあっていないなぁ。
彼は多趣味で、ずっと同じことをしていても飽きないからこそ、 こういう時間を有効的に使える人だ。

____ぼーっとしてるよ。大地は何してるの?

メッセージを返す。
きっと漫画を読んでいるか、アニメを見ているんだろうな。
最近、自炊も始めたって言ってたっけ。

____俺はね、今漫画読んでる

答えは前者だったみたいだ。
春の夜を照らす月の光が、ベランダから少し差し込んでいる気がする。
実際月の光なんて、そんなに明るくもないのに。
『月は太陽に照らされて光ってるんだって』
小学生が理科で習うような知識を目を輝かせて教えてきた大地を思い出す。

____会いたい。

そこまで打って、消す。
そりゃあ会いたいけど、もしもの事があったらと思うとその1歩が踏み出せない。
こんな生活を続けているからか、夜になっても全然寝付けない。
それは大地のことを考えているからではない。
…なんて、厚かましいな。
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