チョココーヒー
【3話】

波乱の予感、、?!


教室の前まで来た。

寝不足なのかそれとも別の何かなのか、頭がくらくらして変に緊張している。

(大丈夫、きっとまだ来てないはず…!)

深呼吸をして勢いよく教室の扉を開けた。
すぐそこの席に小日向爽はいてばっちり目が合ってしまって、あっちもばつが悪そうにそっと目を逸らした。
私も急いで自分の席に座った。まだ、席が遠いのが唯一の救いだ。

…と思ったのにホームルームが始まって先生からの驚きの言葉。

「席替えするぞー」

その瞬間わいわいと喜んで、我が先とくじを引いていく。私もその列に渋々並んだ。

(どうか平和な席になりますように…)

引いたくじは1番後ろの窓側の2列目。割と当たりくじ。
問題は誰が来るか。だんだん席が決まって来ているのに1番窓側の私の隣の席はまだ空いている。

そう思った時、名前が黒板に書かれた。小日向という文字。


「嘘でしょ?!」

思わず声が出てしまって、一緒に話してた友達に驚かれた。

「あは、なんもない」


(まじで!?まじか!!そんな事ありえるのおおおおおお)

 心の中は思いっきり混乱状態のまま席を移動。周りが見えてなくて誰かにぶつかった。

「あいたっ」

「ご、ごめん!大丈夫?」

「全然!というか、俺の後ろの席なんだね。
宜しくねー」

優しい笑顔を見せたのは背が高い多崎真白君。通称ましゅ。
ふわふわした癒し系でマシュマロっぽいかららしい。
私は今初めて喋ったし直接ましゅなんて呼べないけど。

「よ、よろしく」

男子と話したのなんて久しぶりすぎてきょどってしまった。

「あ、小日向も近くになるの初めてだよね?」

そのましゅの言葉でぱっと隣に顔を向けた。
また目が合ってしまった。

「あ、うん」
そう言って私の隣に座った。
変な汗が出そう。

「美麗はまた隣だね〜よろしく」

ふわあとした笑顔のましゅ。
この人が前で少し安心した。
ましゅの隣の黒澤美麗ちゃんは一瞬ましゅの顔を見て小さく
「ん」と言った。

(すごいクールだな)

そんなやり取りを見ていたらチャイムが鳴って1限の国語が始まった。
先生が話す言葉も全然頭に入らない。
さっきの事でもの凄く疲れてしまった。ため息をついて脱力していると、

「じゃあ次の文、相川さん読んで。」

、、、まったく聞いてなかった。
皆が一斉にこっちを見てる。
皆の前で発言する事が大嫌い。

(どうしようどうしよう)

「ねえどこ読めばいいの?」

気づいたら隣に聞いていた。
まさか聞かれるとは思っていなかったのか相手の反応が遅れる。

「えっと、…ごめん分かんない」

(分かんないのかよっ)

そんな様子を見て先生が肩を落とした。

「じゃあ、黒澤さん読んでくれる?」

すっと席を立った。
その時髪の毛から薔薇みたいな香水の匂いがした。

「そして少女は虹の向こうに見える綺麗な青空を見ていた。」

美麗ちゃんの声は淡々としてるけどすごく澄んでいて私とは比べ物にならないくらい綺麗な声だった。
美麗ちゃんを色んな男子がじっと見ていた。小顔でスタイルが良くて眼鏡越しでもきりっとした目が分かる。それで頭も良いんだからモテるのも納得。
だけど結構誰に対してもドライだからか女子はあんま良く思っていない子もいるみたいだった。
私は羨ましいくらいにしか思わないけど。


(というか…!?)
あの時は焦って何も思ってなかったけど
隣に聞いてしまった。
思い出すと机を叩きたくなるくらい恥ずかしいけど意外な一面も見れた。

(頭良さそうに見えて実はあんまり授業聞いてなかったり?)

そっと横目で隣を見ると頬杖つきながらもうとうとしていた。
まだ1限なのにだ。

無口で少しミステリアスな雰囲気があるのにそんな一面もあると思うと


ちょっと面白いと思った。
 

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