恋獄の鎖
この青年は果たしてどちらのタイプかしら。
どちらにしろ、どうせすぐに忘れてしまうことには変わりはないけれど。
「それは困ったね。少し見せてもらってもいいかな」
「よろしいのですか?」
わざと遠慮してみせると青年は柔らかな笑みを向けた。
「僕に直せるとも限らないけれど、それでもよければ」
「とんでもありませんわ。ご迷惑でなければお願い致します」
「ではブレスレットをお貸しいただけますか」
なおも困り切った表情のまま、わたくしはブレスレットを遠慮がちに外した。上に向けられた青年の掌にブレスレットをそっと落とし、縋るような目を向ける。
わたくしに頼られれば誰しもが鼻の下を伸ばしたり頬を緩ませ、喜んで彼女の意のままに動いた。
けれど目の前の青年はわたくしが甘えるように潤ませる瞳に気づく素振りすら見せない。生真面目な性格なのかブレスレットを直すことに集中しているようだった。
(それはそれで、面白くないわ。やっぱり普段わたくしの視界に入らないようなタイプなだけはあるのね)
じっと顔を見ているのも癪に障る。かと言ってそっぽを向くのは頼みごとをしている手前、さすがのわたくしも気が引けた。
少し考えた末に、眺めていても当たり障りのなさそうな手元に視線を落とす。
男性にしては繊細そうな指だ。何か楽器を弾く様が似合いそうな気がする。
そんな指先であっても、細い鎖を繋ぎ直すのは容易な作業ではないのかしら。真剣な面持ちで眉間にしわを寄せ、何度も挑戦を繰り返している。
わたくしは人知れず小さな息を吐いた。
そろそろ、自分ではやっぱり無理そうだと突き返して来るに違いないわ。
どちらにしろ、どうせすぐに忘れてしまうことには変わりはないけれど。
「それは困ったね。少し見せてもらってもいいかな」
「よろしいのですか?」
わざと遠慮してみせると青年は柔らかな笑みを向けた。
「僕に直せるとも限らないけれど、それでもよければ」
「とんでもありませんわ。ご迷惑でなければお願い致します」
「ではブレスレットをお貸しいただけますか」
なおも困り切った表情のまま、わたくしはブレスレットを遠慮がちに外した。上に向けられた青年の掌にブレスレットをそっと落とし、縋るような目を向ける。
わたくしに頼られれば誰しもが鼻の下を伸ばしたり頬を緩ませ、喜んで彼女の意のままに動いた。
けれど目の前の青年はわたくしが甘えるように潤ませる瞳に気づく素振りすら見せない。生真面目な性格なのかブレスレットを直すことに集中しているようだった。
(それはそれで、面白くないわ。やっぱり普段わたくしの視界に入らないようなタイプなだけはあるのね)
じっと顔を見ているのも癪に障る。かと言ってそっぽを向くのは頼みごとをしている手前、さすがのわたくしも気が引けた。
少し考えた末に、眺めていても当たり障りのなさそうな手元に視線を落とす。
男性にしては繊細そうな指だ。何か楽器を弾く様が似合いそうな気がする。
そんな指先であっても、細い鎖を繋ぎ直すのは容易な作業ではないのかしら。真剣な面持ちで眉間にしわを寄せ、何度も挑戦を繰り返している。
わたくしは人知れず小さな息を吐いた。
そろそろ、自分ではやっぱり無理そうだと突き返して来るに違いないわ。