本能で恋をする
堕とされる
「な、に…してるの……?
海斗…やっぱり私のこと……好きじゃ、な、くなった…の…」
そう言うと、崩れ落ちた、彼女・江川 凛音。そう、私があの時呼んだのだ。

「凛音!!!」
慌てて駆けつける、海斗様の手を掴むが―――

パシッ―――
「離せ………」
物凄い怒りの表情で、頬をひっぱたかれた。
その悪魔のような顔が怖くて……恐る恐る手を離す。


海斗様は、彼女に駆け寄り
「凛音!?
凛音!?大丈夫か?
ごめんな、ごめんな……」
と、力一杯抱き締めた。

「海斗ぉ…
私のこと嫌わないでぇ……お願い…
悪いところは全部直すから!
お願い……」
「大丈夫…嫌いになるわけないよ!
凛音しか好きじゃない。凛音しかいらないよ」
そう言って彼女の頬を撫で、口唇にキスをした。
「本当…?信じていいの?」
「もちろん…。てゆうか、俺しか信じないでよ………」


その言葉に安心したのか、彼女は気を失った。

私はその一連の流れを何とも言えない気分で見ていた。
海斗様のあまりの怒りの表情と、彼女に向ける愛情を。
< 48 / 92 >

この作品をシェア

pagetop