本能で恋をする
本能で恋をする
幸い、凛音の傷は軽症で、命に別状なかった。
あの後、鴨志田は警察に捕まり、でもすぐ釈放された。
凛音が頑なに被害届を出さなかったからだ。


そして今凛音の、病室にみんながいる。
俺と、親父、君加さんと一平さん、そして鴨志田。

「凛音さん、僕はあなたを傷つけた。ちゃんと罪を償いたいんです」
「そう思ってるなら、海斗とお義父様の会社を支えて下さい。それがあなたの償いです。
それに私の傷、軽症だったですし、本当は殺すつもりなんてなかったんですよね?」

「ですが………」
「叶斗、凛音さんがいいって言ってるんだから。
そのかわり、お前が海斗と、凛音さんを支えてくれ!」

「わかりました。ありがとうございます」

「社長、海斗様。本当に申し訳ありませんでした!」
「親父と呼べ。叶斗」
「俺も海斗でいいよ。叶斗」


「叶斗。
海斗と二人で、会社を頼む。
俺はもう引退して、家でゆっくり夏子と夢乃の思い出に浸りたい」

「しゃ……父さん」
「宜しくな!叶斗。
でもその前に、一発だけ、殴らせろ!」
凛音を巻き込んだことだけは、許せないから。
「え?」
バコッ――――
「ちょっ…海斗!やめて!
一平さん、やめさせて!」

「いいんです。凛音さん!
僕もすっきりしますから」
「凛音ちゃん。これは男と男のけじめだよ。
だから、見守ってあげて!」



これで、決着だ―――――
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