王子と社長と元彼に迫られています!
───もし、誰かに見られたら・・・!

そう思っているのにキスは激しさを増すばかりだ。ついに立っていられなくなりへなへなとその場に座り込むと、暁さんもしゃがみ込み怒りと悲しみに満ちた目で私を見た。

「あの、その、ごめんなさい・・・。」

「なんで俺が怒ってるかわかるか?」

「勝手に話を聞いちゃったから・・・?」

「違う。」

そう否定したのは鋭く冷たい声だったが、彼の次の言葉は弱々しく悲しそうなものだった。

「俺がほしい女はお前だけなのにそんなこと言うからだ。」

「ご、ごめんなさい。」

「許さない。俺の本気を見せてやる。」

そう言って暁さんは私を軽々と抱き上げ、階段を降りていく。

───すごい、抱き上げるだけでも重いのに更に階段を降りてる・・・いや、そうじゃなくて!

「ど、どこに行くんですか!?」

「ロビーの真ん中だ。吹き抜けになってて他の階からもエレベーターからもよく見える。そこでキスをする。俺にはちさしか見えていないということをお前にも皆にも示したい。」

「!?!?うそ!!冗談ですよね!?」

「冗談かどうか確かめたければそのままそこに大人しく収まっているんだな。」

彼の腕の中であわあわしているうちに1階に着いてしまった。
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