王子と社長と元彼に迫られています!
キスされる!?と思って目をつぶった瞬間、優悟の体が離れる気配がした。

「・・・そんな、絶体絶命、みたいな顔するなよ。あの年下王子と展望室のソファでキスしてた時は、あんなとろけそうな顔してたのに・・・あ、夢で見たんだけどさ。」

その言葉に背筋が凍りそうになる。それだけではなく凍って砕けて砂になり、空気に溶けてしまいそうだ。むしろ溶けてしまいたい。

───あのキスも見られてたの!?じゃあ暁さんとのキスや紬くんとのカラオケでのキスも!?まさか、本当に夢で見たってことはないよね!?探偵を雇ったんだよね!?あの時もどこかから見られてたの?それとも防犯カメラの映像を観たとか・・・あああ駄目だ、二日酔いで頭が回らない。

「・・・具合悪いのに悪かった。」

優悟はそう言ってベッドから降りた。昨夜は飲み過ぎて柚香の家に泊めてもらい、昼過ぎに帰宅して寝ていると、夕方優悟が訪ねてきたのでためらいつつ家に上げた。

「なんかいるもんあったら買ってくるけど。」

「え?」

「何?」

「いやその・・・。」

そんなこと言ってくれたことなかったので驚く。

「薬も飲んだしだいぶよくなったから、大丈夫。」

「ほんとか?」

「うん。それより今日何か用だったの?」

「・・・土産渡したかったから。明太子好きだろ。」

「そ、そっか。わざわざありがとう。」

「・・・。」

「・・・。」

「俺、洗い物でもするよ。」

「!?ねぇ、どうしたの?熱でもあるんじゃ・・・。」

シンクの方に向かいかけた優悟の前に回り、おでこに手を伸ばす。目が合った途端、柚香の言葉を思い出す。『顔だって程よく整ってるし。』───彼の顔をこんな風にじっと見るのはいつぶりだろう。程々に凛々しい眉毛、幅の狭い二重でほんの少し目尻が上がった目、高い鼻、小さめの口・・・確かに整っている。

紬くんや暁さんみたいな、思わず目をつぶりたくなるくらい眩しいイケメンとは違う。なんていうか・・・ホッとする光?嫌なことがあって家に帰ってきたらついている明かり、みたいな。

優悟が私をじっと見つめ返してきたので、彼を見つめていたことを自覚し目を逸らそうとするとおでこに触れようとしていた手を掴まれた。
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