受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
三章

 デュークとジョージの血湧き肉躍る試合から、数日が経った。

 あの日、ジョシュアはジョージを凄まじい勢いで叱り飛ばし、ぎっくり腰を再発。無理にでも仕事をしようとするので、強制入院させられている。

 ジョージは、毎日のようにレーヴの前へ現れては、謝ろうとして口をモゴモゴさせている。高いプライドが邪魔をして、素直に謝ることもできないらしい。

 レーヴの方も、ジョージの顔を見るとナイフが迫ってきた時のことを思い出して、自身の情けなさと原因不明の恐怖で逃げるようになってしまった。もともと苦手意識を持っていたが、今はその比ではない。

 ジョージが来て、レーヴは逃げる。もう何度、繰り返しているのだろう。いい加減どうにかしなくちゃとレーヴは思うのだが、足は勝手に逃げを打つ。
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