受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
 さらにその次は、なんとトイレに閉じ込められた。
 口に残る野菜ジュースの青臭さを消そうとうがいをしていたら、ガタガタとわざとらしく大仰な音を立てて扉を施錠される。

 こちらはまぁ、いつものことなのでレーヴは大して驚きもしない。
 慣れた様子で、もっと静かにやればちょっとくらい焦ったかもしれないのになぁ、なんて思いながら、華麗にトイレの窓から脱出した。

 この時点で、すでに遅刻気味ではあったのだ。
 だから全速力で本日騎乗予定の馬がいる厩舎へ向かったのだが……。

 なぜだか、レーヴが乗る予定だった馬がいなくなっていた。
 馬を繋いでいたロープが鋭利な刃物で切られているのを見るに、おそらくあの子の仕業だろう。

 いっそ清々しいほどに、やられっぱなし。
 ここまでくると、他の細やかな不幸もあの子のせいにしたくなる。
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