三度目のファーストキス
「もうやめろ」

 

 その時、凛とした声が響いた。諒太だ。

 3人で諒太を見つめた。諒太がついてきてるなんて知らなかった。

「柚葉、やめとけ。」

 諒太が私の肩に手を置いて、静かな声で言った。

「お前、そんなヤツじゃないだろ。自分で自分を苦しめるな。」

 私を気遣うかのような諒太の言葉。いつも通りの無表情。涙が一筋流れた。

「うっ...蓮也ぁ~!!」

 泣きながら蓮也に抱きついた。苦しい。苦しいよ。ももちゃんが憎くて仕方ないよ。言いたくもない言葉が止まらない。大好きだよ。蓮也。

「…ひっ…っ…ぐっ…」

「え?え?柚葉?どうしたんだ?」

 泣きじゃくる私に焦る蓮也の声が聞こえる。

「急にどうしたんだよ。何かあったのか?」

 この期に及んでまだ私の気持ちに気づいてない蓮也。遠慮がちに頭を撫でてぎゅっと抱き締めてきた。

「泣くなよ。どうしたんだ?」

 優しい声とその行動に本当なら顔が緩むほど嬉しいはずなのに、胸に鉛が詰まったかのようにズンと痛んだ。その手に、声に私への好意は少しだってないんだから。優しいけど鈍感。ホント、無自覚でヒドイ男だ。でも、大好き。嫌いになれない。その優しさのせいで私はなかなか蓮也から離れないでいるの。

「俺、ももを送ってくから。二人でちゃんと話せ。」

 諒太の静かだけど、有無を言わせない口調が聞こえた。

「え?あ…でも…」

 蓮也のとまどう声。

「柚葉ちゃん...ほんとうに...ごめんなさい」

 ももちゃんの苦しそうな声。全部聞こえているけど、聞こえないふりをした。ただ蓮也にぎゅっとしがみついていた。

「行こ、もも」

 諒太の声に二人が公園を後にする。久しぶりに蓮也と二人きり。これからどうしよう。胸が苦しいほどドキドキする。私は最後にぶつかってみようと決心した。
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