ほろ苦彼氏の甘い口づけ
「おー、いいじゃん。あたしは当日じゃないんだけど、来週金曜の夜にフレンチレストランに行く予定だよ」



初々しい琴実を眺めていると、正面に座る豊香(とよか)がカフェラテを一口飲んで答えた。



「わぁ、オシャレ〜! ちなみにそこ、夜景が見えるところだったり?」

「もちろん。ビルの最上階だからね」

「くぅ〜っ、さすが社会人の彼氏持ちは違うね〜!」

「マジそれ! スイーツ食べるうちよりも甘々じゃん! 食事終わった後も2人で過ごすの?」

「それは……ナイショ」



ポツリと呟いて再びストローをくわえた豊香。

答えは濁したものの、巻き髪の隙間から見えている両耳は真っ赤。

頬を上気させた琴実よりも色が濃いということは……。



「キャ〜! 顔に出てんぞっ、このこのっ!」

「なるほど。うちのデートより何倍も甘い時間を過ごすのかー」

「う、うるさいなぁ。美羽はどうなの?」



両サイドからいじられまくる豊香が、照れ隠しするように私に話を振ってきた。
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