マリアちゃんと鬼ごっこ


「そういえば俺たち昨日の夜に駅前のゲーセンにいて、マリアちゃんに見つかったんだよ」

「え?」

軽く言ってきた根本の言葉とは真逆に、俺は表情を強張らせた。

「いやいや、無傷だよ? ほら」

根本が大げさに両手を広げる。荒武も菅野も同意するように頷いていた。

「んでさ、その時思ったんだけど、案外この鬼ごっこ楽勝かもよ」

根本がニヤリと口元を上げている。 

「ら、楽勝ってなんで?」

「だって、あいつ足遅いもん」

三人はマリアに見つかって追われたけど、すぐに姿が見えなくなるほどの距離が生まれて振り切ることができたと教えてくれた。

「とくに全力出してたわけじゃなかったし、櫻木たちみたいに至近距離で会わなければ普通に余裕だよ」

それを聞いた女子たちは少し安心したような顔をしていた。

たしかにあんな大ぶりのノコギリを持っている限り、速くに走ることは難しいと思う。

でも相手は殺人鬼と呼ばれるほどの存在だし、なによりマリアは人間ではない。

足が遅いからと言って簡単に楽勝だと決めつけてしまうには早いと思う。

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